誘惑のクラン(血族)
「優真さん……」


璃子は優真の言葉に悲しくなった。


お父さんの昔の知り合いだから、私に同情して妻にしようとしているんだ。


優真さんに愛情はない。


勘違いしちゃいけない。


「まだ調べ物があるんだ。先に眠っていて」


「……はい。おやすみなさい」


優真の唇を額に受けた璃子は目を閉じた。


ソファに優真が座る衣擦れの音が聞こえた時、璃子の目尻から一筋の涙が流れた。


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