誘惑のクラン(血族)
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翌日、空は璃子の心のようにどんよりと曇り、もうすぐ雨が落ちて来そうな天気だった。


目が覚めた美菜はケガをした時のことを覚えていなかった。


記憶を操作され、散歩している時に怪我をしたのだと思い込んでいる。


まだ顔色が悪いが、いつものように元気な美菜だ。


なにも知らない方がいい。


なにも知らずに東京に戻って欲しい。


そう思う璃子は反対に、いつ本格的な覚醒が来るのか気が気でなかった。


今までも軽い兆候はあった。


しかし、血をゴクゴクと飲みたい気分にはならない。


あんな鉄臭い血を飲みたくなるのだろうか。


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