誘惑のクラン(血族)
「――子? 璃子?」


「えっ?」


美菜に呼ばれ、ハッと我に返る。


「どうしたの? 優真さんのこと考えていたの?」


ベッドの背に身体を起こした美菜がからかうように言う。


「そ、そんなんじゃないよ」


璃子はうわの空で否定する。


「すごいよね。運命って。助けてもらった人がステキな恋人になっちゃうなんて。しかも優真さんはセレブじゃん。私も碧羽くんとどうにかなんないかな」


あっけらかんという美菜に璃子は苦笑いを浮かべた。


碧羽くんもヴァンパイアなのだから、美菜と恋に落ちることはないのだ。


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