誘惑のクラン(血族)
「美菜、傷口消毒して包帯代えようか」


璃子はチェストの上に置かれた木の救急箱を取りに立ち上がった。


救急箱を取り戻って来ると、美菜が自分で包帯を外していた。


「いたっ!」


美菜が痛みに声を上げた。


傷口は優真によって綺麗に縫われていたが、かさぶたになっていた所が剥がれてしまい血がにじんでいた。


急激に血の匂いが部屋を充満していく。


途端に、璃子の心臓がドクンと波打つ。


「璃子、早く消毒して」


胸元を手で押さえていると、美菜が言った。


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