誘惑のクラン(血族)
双子だが、音羽の方は喜怒哀楽の感情は碧羽ほど持ち合わせていない。


「……優真さん、神経がたっていたみたいだけれど、お客様って……」


「兄さんの感情がわかるなんて、璃子さんすごいな」


兄さんは人の前で、心の中を表面に出さない。


微妙な感情が彼女にわかるようだ。


「もう! 碧羽くんはからかってばかりいるんだから」


璃子の恥ずかしがる反応に、碧羽がクスッと笑った。


その時、窓の方から木がきしむ音がした。


ギギギギギ――――。


その音に璃子は心臓をドキリとさせ、飛び跳ねるように立ち上がった。


< 212 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop