誘惑のクラン(血族)
窓からだ。


カギが締まっているはずの窓がきしんだ音をたてて開いていた。


碧羽が瞬時にソファを離れ、窓辺に向かった。


「……そう警戒するなよ。碧羽」


カーテンの奥から、低めの声と共に姿を見せた長身の男。


優真と同じ漆黒の髪。


外は土砂降りの雨なのに、男は全く濡れていなかった。


璃子はその男性を見て息を呑んだ。


優真に良く似ていたからだ。


身長もほぼ同じで、顔立ちも双子のように良く似ている。


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