誘惑のクラン(血族)
「璃子さん、大丈夫だ。座って」


そう言われて、全身が小刻みに震えていることに気づいた。


「可愛い小娘だな」


璃子の頭からつま先まで舐めるように見た尚哉。


その視線に璃子の背筋はゾクリと寒気を感じる。


「何の用で来たんですか?」


碧羽は近づく尚哉を鋭い目で見る。


「俺は長の嫌われ者だからな。時期、長候補の優真がこの娘によって外れるのなら、応援しなくてはと思ってな。今、向こうで行われている話合いしだいでは、長はこの娘を殺すように命令するだろう。」


ふたりの元へ近づく尚哉はソファにドカッと腰を下ろした。


ソファの背に腕を伸ばし、寛いだ格好になる。


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