誘惑のクラン(血族)
「このお嬢ちゃんは何も聞かされていないのか?」


尚哉はおや?と言うように片方の眉を上げた。


「ええ。兄さんは詳しくは話していません。なので、尚哉さんも話さないでもらいたいんです」


「碧羽くんっ! 私は何が起こっているのか知りたいの。お願いします。話して下さい」


「ふ~ん、いい度胸しているじゃないか。お嬢ちゃん」


「璃子さん、あなたは知る必要はない」


碧羽は忠告するが、璃子は首を横に振り、頑として受け入れない。


仕方なく大きなため息を吐いた碧羽は尚哉を見た。


「碧羽を従わすとは大したお嬢ちゃんだな」


尚哉は仰け反り、愉快そうに笑った。


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