誘惑のクラン(血族)
優真は切れ長の目で鋭く尚哉を睨むと、璃子の隣に腰をかけた。


「そうだったな。君は喜ぶ立場だった」


「ああ。愉快で仕方ない。早くこの小娘を覚醒させてほしいくらいだ」


「璃子ちゃん、大丈夫かい? 驚いただろう?」


優真は声をかけたが、璃子は軽く頷くだけだ。


今さっきに尚哉から聞いた話にショックを受けていたからだ。


優真さんは数少ないヴァンパイアの純血種で、私を助けることで半純血種になってしまい、そのせいでヴァンパイアを統率する長になれなくなる。


自分のせいで……。


生きていたいと思う。


唯一の肉親であるお祖父ちゃんにも会いたい。


だけど、ヴァンパイアの未知の世界が怖いのも確かで……。


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