誘惑のクラン(血族)
「なにか欲しいものはある?」


優真は璃子の汗ばんだ額にはりつく髪をそっと掻き上げる。


「なにも……」


ドクドクと暴れる心臓を押さえつけるように、右手が動く。


ギュッと服の上から掴むと、その手にひんやりとする手が添えられた。


「そんなにきつく掴まないで」


小刻みに震える身体。


守ってやりたい衝動にかられる。


優真は震えを止めて欲しくて抱きしめていた。


しばらく抱きしめていると、璃子が腕の中で身じろぎした。



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