誘惑のクラン(血族)
「璃子ちゃん……」


「ごめんなさい……こんなこと言う資格なんてないのに……」


気を悪くさせてしまったに違いない……璃子は下唇を噛み、俯いた。


「君が妻になったら失望させない」


愛している……とは言えない。


璃子ちゃんに好意は抱いているが、沙耶に感じた時のような胸の奥に熱いものが煮えたぎるような感覚はない。


璃子は小さなため息を吐き、そっと頷いた。


優真さんに言って欲しい言葉はやっぱり出てこない。


……それでも、優真さんと一緒に居られるのは嬉しい。


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