誘惑のクラン(血族)
「貴方の想像通りですよ。時間です。殺されたくなければ優真様から離れなさい」


それだけを告げ香草の入ったサシェをタイルの床に落とし、崇は窓から身をひるがえし消えた。


崇がいなくなると、璃子は息苦しさに深く呼吸を繰り返した。


力を失ったようにガクンと膝が折れ、慌てて洗面台に手をつき身体を支える。


「嘘……」


優真さんがお母さんを愛していた? お父さんが優真さんに殺された? ふたりは交通事故だって……。


わからない……。


璃子は洗面台に手をつきながら頭を左右に振った。


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