誘惑のクラン(血族)
すぐ隣のパウダールームのイスに座らせると、俯く璃子に優真は顔を見ようとしゃがむ。


優真は考えた。


あそこに落ちていたサシェはヴァンパイアの苦手な香草が入っていた。


誰かが落としていった物なのか?


「璃子ちゃん、ここに誰かいた?」


さっさまでの璃子の目とは違い、怯えたような目に優真は眉根を顰める。


「璃子ちゃん?」


璃子は小さく首を横に振った。


「本当に?」


璃子が嘘を吐いているのは見抜ける。


しかし、誰が現れ、誰に何を言われたのか状況は読めない。

< 241 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop