誘惑のクラン(血族)
ベッドの端に座らされた璃子は部屋を出ようと立ち上がる。


話なんて出来ない……。


「璃子ちゃん、座って」


「優真さん、本当にひとりになりたいんです。ひとりになって考えたいんです」


肩に触れられ、もう一度ベッドに座らされた璃子は言った。


「どうやら君に入れ知恵した者がいるようだ。なにがあったか話してごらん」


「……」


「璃子ちゃん?」


優真は璃子の顎を軽く上げ、目と目を合わせた。


すぐに視線を逸らされると思ったが、意外にも璃子は黒目がちな目で優真を見ている。



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