誘惑のクラン（血族）
「……私、お母さんの代わりじゃないです」


優真の切れ長の目が驚きで大きく見開かれる。


「なにを言っているんだ？」


「お母さんを愛していたんでしょう？　だからお父さんを殺した」


「っ！　璃子ちゃん！　大沢博士を殺してなどいない！　いったい誰に言われた？」


今の璃子の目は優真への不信感がありありとわかる。


「それに長になりたくないからって私を利用しようとしている。私の為を思って妻にしてくれているとばかり思っていました。なんてバカだったの！　ヴァンパイアの言うことを真に受けるなんて！」


「君は他のヴァンパイアの言うことも真に受けている。落ち着いて話を聞いてくれないか」


「お父さんを殺した人の妻になんてなりたくありません！」


璃子は優真を押しのけ、ドアに向かった。



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