誘惑のクラン（血族）

出て行った璃子と入れ替わりに入って来たのは碧羽。


「いったいどうしたの？　あんなに気性の激しい子だったっけ？」


ホールで碧羽にぶつかったが、何も言わずに階段を上がっていった璃子。


「身体の中の変化のせいだろう。それと、目を離した隙に璃子ちゃんに入れ知恵をした奴がいる。彼女は私が大沢博士を殺したと思っている」


「ヴァンパイアと接触させるなんて兄さんらしくないね」


「長も必死なのだろう……碧羽、今夜は璃子ちゃんに付いていてほしい」


「わかったよ。で、兄さんは誰に会うの？」


「ヴァンパイアは私達が苦手なサシェを持って璃子ちゃんに接触した。普通のヴァンパイアでは出来ないだろう。それが出来るのは崇か彰だと推測している」