誘惑のクラン(血族)
拉致
ドアが静かに締まると、璃子は大きく吐息を吐いた。
ずっと息を殺していたようで苦しい。
そこへ碧羽がやってきた。
「碧羽くん、出て行って。ひとりになりたいの」
入って来た碧羽の姿を目で追いながら言う。
璃子は内心、また優真が来てくれたのかと期待した自分に気づいた。
「出て行かないよ。兄さんに君を守るようにと言われているんだ。ねえ……璃子さん、本当に兄さんが大沢博士を殺したと思っているの?」
「……私は身代わりになんてなりたくない」
違う……。
今は身代わりでもいいと思い始めている。
ずっと息を殺していたようで苦しい。
そこへ碧羽がやってきた。
「碧羽くん、出て行って。ひとりになりたいの」
入って来た碧羽の姿を目で追いながら言う。
璃子は内心、また優真が来てくれたのかと期待した自分に気づいた。
「出て行かないよ。兄さんに君を守るようにと言われているんだ。ねえ……璃子さん、本当に兄さんが大沢博士を殺したと思っているの?」
「……私は身代わりになんてなりたくない」
違う……。
今は身代わりでもいいと思い始めている。