誘惑のクラン(血族)
肉が焼ける生々しい匂いが立ち込める。


右足が折れているせいで身体が起こせない。


「耐え難い痛みでしょうが、これも仕方がないことなのです。数日間我慢してください。これも優真さまと香織さまの為」


「こんな事をしても私は香織を妻にしない!」


「そう言われましても、長の命令ですから」


「長を呼べ」


かなりの痛みを両手首と右足に受けているが、表情には微塵も出さない。


その表情も崇の次の言葉で崩れる。


「長は東京です。それに長が来るころにはあの娘は死んで、かたが付いていることでしょう」


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