誘惑のクラン(血族)
璃子を見ていると、出会った頃の沙耶を思い出す。それほどよく似ている。


優真は彼らが幸せで暮らしていると思っていたが、大沢博士は沙耶と結婚した後にヴァンパイアに襲われた。ヴァンパイアになってからも自分で開発した薬でなんとか理性を保ち研究に打ち込んでいたが、沙耶が妊娠してしまったのだ。


それから5年後だった。彼らが交通事故で亡くなったのを知らされたのは。


ヴァンパイアを制御する薬は大沢博士以来作られていない。


昔を忘れていた優真に、大沢博士の父だと言う老人が訪ねてきたのは数日前のことで、息子の日記を見て尋ねてきたのだと言う。


老人は優真に大沢博士の日記を見せた。


自分に何かあった場合、20歳になる前に璃子を優真に会わせて欲しいと書かれてあった。


彼に頼まなければ璃子を失ってしまうと。


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