誘惑のクラン(血族)
碧羽が階下に向かう後姿を眺めてから、音羽は行動を起こした。


ソファで眠る璃子の横に立つと、用意していた試験管をポケットから取り出す。


中身は人間の血。


血の匂いが漏れないように念入りに巻いてあったテープを剥がす。


お兄様は香織姉様が相応しいのよ。


たかがニューボーンの存在で半純血種に引き上げられるなんて許されない。


さあ、早く覚醒して狂い死にしなさい。


試験管の蓋を開け、無防備に眠る璃子の口の中へ血を垂らす。


「んっ……」


璃子の口の中に垂らされた血はコクッと喉を鳴らし、身体の中に入っていく。


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