誘惑のクラン(血族)
うっすらと目を開けた璃子は、目の前にいる音羽に驚き跳ね起きる。


「音羽ちゃん! 今なにをっ!?」


微笑みを浮かべる音羽は、更に笑みを深める。


「なにをって、わからない? 血をあげたのよ」


聞く前からわかっていた。


口の中が錆の味が広がっている。


そんな事を聞きたいのではなかった。


なぜ自分に血を飲ませたのか。それが知りたい。


それなのに、身体が熱くなり全身が震えはじめる。


「うっ!」


心臓が張り裂けそうなほどに痛み、璃子は身体を屈めた。


< 266 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop