誘惑のクラン(血族)
「血が欲しいんでしょう?」


血が……欲しい……。


音羽の言葉に誘引されるように璃子は血を望んでいた。


「あそこに人間がいるじゃない。あの子の血を吸えばいいのよ」


音羽はベッドで寝ている美菜を指さす。


璃子の血を望み、身体中の痛みの中に疼きも感じていた。


血……。


璃子はふらっとソファから立ち上がった。


そしてベッドに近づく。


そこに寝ているのが親友だという意識は、今の璃子になかった。


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