誘惑のクラン(血族)
璃子は美味しい果実からジュースを飲むように美菜の首に歯をあて吸っていく。


美味しい……。


これが血の味……。


どんどん璃子は美菜の血の味にのめり込んでいく。


すでに狂人になったのかもしれない。


ニューボーンになれずに、誰かまわず人間を襲うヴァンパイアに。


これ以上血を吸えば美菜は死ぬだろうと、見ていた音羽は思った。


部屋の中にズズッと血を吸う音のみの静寂。


その静寂を破ったのは碧羽だった。


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