誘惑のクラン(血族)
碧羽の腕にすがり聞く璃子は自分の尖った爪に驚く。


「爪がっ!」


「本当の覚醒が始まったみたいだ……」


尖った爪、赤い瞳、口から血を垂らしている姿はヴァンパイアそのものだ。


「あぁ……碧羽くん! 美菜はっ!? 美菜は大丈夫!?」


碧羽は美菜の首の傷口に指をあてた。


傷は消えないが、出血は止めることが出来る。


微かな脈を指に感じた。


「まだ生きている。今すぐ病院へ連れて行けば……」


「お願い! 美菜を連れて行って!」


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