誘惑のクラン(血族)
香織は優真の滑らかな胸に指をゆっくりと這わせた。


「お兄様」


もう一度呼びながら揺すると優真のキレイな形の眉が寄る。


そして瞼が開いた。


開いた瞼から覗く瞳は深紅色。


純血種ならではの瞳の色だ。


「お兄様、早く長に謝ってください。そうすればここから解放されます」


「手錠を……」


優真は折れた足の痛みに呻き声をあげそうになった。


ヴァンパイアの再生能力は優れているが、香草のせいで治りが遅い。


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