誘惑のクラン(血族)
中の様子をよく知ろうと小窓に近づいた時、背後で草の踏む音がし身構えた。


「碧羽様。早く別荘へ戻った方がいい」


「彰!」


背後にいたのは彰だった。


「優真様は長の命令で崇が拉致した」


「兄さんがっ!?」


「足を折られ、身動きが出来ないように香草を嗅がされている。いくら優真様でもあれでは捕まるしかなかった」


「どうすれば……」


「碧羽様はあの娘を守りに早くお戻りを。俺が優真様を助ける。それから、音羽様は長の味方だ」


< 280 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop