誘惑のクラン(血族)
璃子のうつろな赤い瞳が碧羽を見る。


「苦しいんだよね。可哀想なんだけど、今は耐えるしかないんだ」


「……優真……さんは?」


「兄さんは崇に捕まってしまったんだ。彰が助け出すまでがんばらないとね」


優真が捕まったと聞き、璃子は目が大きく見開かれ、少し正気が戻る。


「優真さん……」


「で、今車の外には数人のヴァンパイアがいる。璃子さんを殺しに来たんだ。俺が車を出たらカギをロックしてね。車が壊されないうちに戻って来るから」


「え……?」


「ちょっと戦ってくる。大丈夫、安心して。こんな雑魚にやられないから」


碧羽は璃子を安心させるように笑った。


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