誘惑のクラン(血族)
うずくまる碧羽のその横にホテルのレストルームに現れた男がいた。


血の匂いが璃子の鼻を刺激する。


碧羽が呻き声をあげている事から、どこか負傷しているようだ。


鉄パイプを握る手が自然と力が入る。


「崇! 碧羽をどうするつもりだ?」


尚哉が厳しい顔つきでうずくまる碧羽を見た。


「碧羽様は大事な半純血種。殺すことはいたしません。ただ、その娘を殺す間大人しくしていてもらうだけです」


崇が後ろにいる男に頷く。


その男がゆらりと姿を見せた。


八条だった。

< 289 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop