誘惑のクラン(血族)
「だって、片方だけで私を抱きしめられるでしょう?」


香織はクスッと笑うと胸板に唇を近づけ、つーっと舌先で滑らかな肌を滑る。


「まだ信用していないんだな?」


「いいえ。信用はしているわ。でも、こんなプレイもありでしょう?」


華奢な指がスラックスの留め具を弾く。


「私がたっぷり時間も忘れるくらい楽しませてあげる」


ボロボロのシャツを引き裂くと、床に捨てる。


「お前が楽しませてくる?」


優真はクッと喉を鳴らし、次の瞬間香織の絹糸のような黒髪を鷲掴みにして引き寄せた。


「お兄様? そんな乱暴にしないで――」


妖しい笑みを浮かべる優真に香織は不服そうに唇を尖らせた。


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