誘惑のクラン(血族)
優真は更に笑みを深めた瞬間、腕に力を入れた。


「ううっ! お……兄さま!?」


香織は痛みに顔を引きつらせている。


髪は今にも引きちぎられそうだ。


「や……めて……」


掴まれた髪に手をやり優真の上で身体を動かしくねらせる。


「お前は度が過ぎた。あと少し力を入れれば首の骨が折れるぞ? あぁ……ヴァンパイアだから死なないな」


香織は顔を引きつらせたまま何も言えないでいる。


「人間、この女に手錠をかけろ」


ドアの前に立ったままでいる男に優真は言った。


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