誘惑のクラン(血族)
第1章

別荘

大沢 璃子(りこ)は親友の森山 美菜(みな)と一緒に、太陽の日差しがさんさんと降り注ぐ中、軽井沢の高原地に車で向かっていた。


運転しているのは璃子ではなく、免許を取って半年の美菜。


免許を取ってから東京―長野間の長距離は初めてだが、なかなかあぶなげない運転で無事にここまでやって来られた。


パーキングで昼食をとり、再び車を走らせた数時間後、甘いものが食べたくなったふたりは、高原牧場の有名な工房でつくられたソフトクリームを食べていた。


濃厚なソフトクリームだ。


「美菜がいなかったら電車で来るしかなかったね。車だから牧場まで足を延ばして、美味しいアイスが食べられたんだよ。ありがとう」


ソフトクリームを舌先で舐めながら、美菜に笑いながら璃子はお礼を言う。


「私の方こそ璃子のお祖父ちゃんのおかげで、リッチなホテルに泊まれるんだから感謝しなくちゃ」


美菜もソフトクリームを舐めながら笑った。





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