誘惑のクラン（血族）

最悪のことが頭によぎった瞬間、優真の心臓がぎゅっと鷲掴みされたような感覚を覚えた。


「彼女は５時間ほど前に覚醒したようです。崇に狙われているところへ尚哉様が助けに」


尚哉が助けに入ったと聞き、優真は安堵した。


「優真様、安堵するのはまだ早いです。倒れた彼女を助けようとし、尚哉様がひどいケガを」


「なんだって！？　今どこにいる！？」


「ここから５キロほど離れた教会です。崇やその他のヴァンパイアが入れない場所へ尚哉様が連れて行きました」


彰の説明に優真は頷いた。


「璃子ちゃんはまだ覚醒中、純血種の尚哉は教会の聖域にも耐えられる。よく考えたな」


尚哉の判断に感謝しつつ、優真は玄関に向かった。