誘惑のクラン(血族)
「私……」


ヴァンパイアに頭を何かで殴られたことを思い出したその時、強い血の匂いに身体の中が煮えたぎるように熱くなった。


身体が爆発しそうな感覚に璃子は呻いた。


「どうした?」


「……血が……」


苦しい……。


身体がバラバラになりそう……。


「あなたの……血? ……っぅ……」


痛みと乱れる呼吸を堪えながら尚哉を見ると、ライダースジャケットの上半身は腰まで落とされ、Tシャツが腹部の辺りから血に染まっていた。



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