誘惑のクラン(血族)
「……あな……たは……?」


血の匂いで渇望感が襲い、喉が渇く。


璃子は少しでも尚哉から離れようと、ふらっと立ち上がった。


「どこへ行く?」


すかさず尚哉が厳しい表情で聞く。


「血が……少し……離れたい……んです」


今すぐにでも飲みたい。


「血が欲しくなっているんだろう。俺のを飲むか?」


俺のを飲むか?


その言葉に璃子の心は揺れ動きそうになる。



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