誘惑のクラン(血族)
「俺の嫁にしてやる」


身体を丸めて横たわる璃子の方がビクッと震える。


「……よ……め?」


「そうだ。優真が間に合わなければお前は狂い死にするかもしれない。俺の血を飲み、俺もお前の血を飲む。今の苦しさから解放されるぞ」


誘惑……だよ……。


私に……そんな提案しないで……。


涙が目じりを伝い、床に落ちる。


……この人は……優真さんじゃない。


優真さんは私に約束してくれた。


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