誘惑のクラン(血族)
苦しみながらも自制心、理性はまだあるようだ。


拒絶されたことで、尚哉は不愉快そうに顔を歪める。


「本当にいいのか? お前は動けない。俺がお前を欲しいと思ったら抵抗できないぞ?」


「……あなたには……感謝してる……けど……ゆうま……さん……だけ……ううっ!」


一瞬引きつった顔になり、璃子は痛みに意識を暗闇に落とした。


「おい!」


気絶した璃子に驚いたが、気絶していた方が痛みは感じないだろう。


尚哉は璃子から離れ、元いた場所に座るとまんじりとせず宙を見つめた。


外がうるさくなってきたようだな……。


教会の周りにヴァンパイアの気配を感じる。


さて……どうするか……。


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