誘惑のクラン(血族)
璃子はその場に居たくなかったのか、すんなりとドアの向こうへ消えていく。


残された男ふたり。


腹部の崇に刺された傷は、きれいになくなっている。


目に映るのは滑らかな腹筋だけだ。


「……璃子ちゃんは無事にニューボーンになったようだ」


「ああ。教会に入った時はかなり苦しんでいたがな」


尚哉は用意した優真の服に着替え、シャツの袖に腕を通している。


優真が一番気にしていることを知っているが、わざと知らんふりをしているようだ。


「尚哉、璃子ちゃんと相互吸血をしたのか?」


「気になるのか?」


余裕めいた笑みが優真には気に入らない。


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