誘惑のクラン(血族)
「声を荒げるなんて珍しいな?」


胸ぐらを掴まれ、今にも殺されそうに睨まれているのだが、尚哉の余裕の笑みは消えない。


その笑みに、更に苛立ちがこみ上げる。


「答えろ! 相互吸血したのか!?」


ぎりぎりと喉を絞めていく。


尚哉は抵抗しない。


呼吸が出来なくなる手前……。


「……いや、していないな」


そう呟いた優真の腕の力がスッと抜けた。


「なぜそう思う?」


乱れた襟を直しながら尚哉は聞いた。


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