誘惑のクラン(血族)
「尚哉、お前の血を体内に取り込んでいれば、あれくらいの明るさで苦痛を感じないはずだ」


優真はキャビネットからグラスを2つ手にすると、テーブルの上の赤ワインを注ぐ。


「それに、そうなったら璃子ちゃんが言うはずだ」


グラスを尚哉の前に差し出す。


「すごい自信だな。数日過ごしただけでもう彼女を信用しているのか?」


尚哉が思い出したように口角が上がる。


「なにがおかしい?」


「……からかうのはいい加減良しとするか。そうだよ。俺は彼女と相互吸血はしていない。彼女自身が克服したんだ」


尚哉の口からハッキリ聞き、優真は安堵した。


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