誘惑のクラン(血族)
「童顔って良く言われるから」


「もう少し経ったら、絶対に綺麗になるよ」


碧羽の言葉に戸惑う璃子は、苦笑いを浮かべた。


年下に言われてもな。


言われるのなら……。


「碧羽、音羽。セリフを覚えなくてはならないんじゃなかったのか?」


優真に言われた碧羽は、肩をすくめて立ち上がった。


音羽も黙って立ち上がると、黙って出て行った。


「じゃあ、わたしも――」


席を立ちあがろうとすると、優真の手が伸び璃子の腕が軽く掴まれた。


「まだいいではないですか」


優真の珍しいグレーの瞳に見つめられ、璃子の心臓がドキドキとうるさいくらいに暴れ始める。


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