誘惑のクラン(血族)
「私は狂人にならずに、ヴァンパイアになったんですか?」


「君は自制心が相当強い子なんだね」


「美菜……美菜のおかげなんです」


璃子は瞳を潤ませている。


「美菜さんか……」


優真は彰から聞いていた。


こくりと頷き上げた璃子の頬に涙が伝わっている。


「私、美菜の血を飲んでしまったんです……血が飲みたくて、どうしようもなくて……」


「仕方がなかったんだ。彼女を死なせなかっただけでも良かった」


頬を流れる璃子の涙を、優真は指の腹で拭う。


「喉が渇いただろう? 私の血を飲みなさい」


「優真さんの……」


璃子はなにかを決心したように顔を上げ、真っ直ぐ優真の目を見た。



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