誘惑のクラン(血族)
あまりにもかぐわしい血の香り……。


璃子は生唾を呑み込む。


「ほら、血が垂れていく。もったいないよ」


囁くような声に無性に欲しくなる。


「どうしてこんなことをするんですかっ!」


鼻先に出血した個所を持って来たのだろう。


より血の匂いが強くなり、璃子の五感を刺激する。


「それほど君を妻にしたいんだ」


「やめて!」


「さあ、飲んで。気分が良くなるよ」


甘く誘う声。


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