誘惑のクラン(血族)
「いや!」


もう限界に近い。


早くひとりにして欲しい……。


朦朧としているのに、血の香りだけははっきりと認識してしまう。


「本当に君は可愛いヴァンパイアだね。強情な所が可愛い」


髪に優真の手を感じた途端、璃子はビクッと身体を震わせる。


「もっと甘えて欲しいね」


「だから、違うんです」


優真の髪を梳く手から逃れようと、腰をずらす。


「何が違うんだい? 私は君がいいんだ」


額にひんやりとする唇の感触。


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