誘惑のクラン(血族)
「ゆ、優真さんっ!」


「よく聞いて欲しい。君と沙耶を比べることは出来ない。なぜなら、比較にならないからだ。沙耶よりも君を愛しているから」


「嘘……」


愛していると言われても素直に喜ぶことなんて出来ない。


璃子は更に優真から離れようと立ち上がった。


足はぐにゃりと自分のものではないようで、その場に座り込む。


「璃子ちゃん」


「嘘はつかないで……」


「嘘じゃない。本当に愛していたのなら、大沢博士に沙耶を譲らずにヴァンパイアにして自分のものにしていただろう。だけど、そこまでする気持ちはなかった。でも君に対しては違う。捕まっている時、身を切られるほど心配だった。君の死が目の前にちらつくたびに胸をえぐられる思いをしたんだ」


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