誘惑のクラン(血族)
グレーの瞳を見ると、何とも言えない気分になるせいで、食事中もなるべく見ないようにしていたし、今も視線を逸らして腰を下ろす。


その何とも言えない気分がなんなのかは、今はわからない。


「私が苦手かな?」


「そ、そんなことないです。ただ……カッコいい人を近くで見たことがないので緊張しちゃうんです」


素直に言った。


きっとカッコいいなんて、言われ慣れているだろうから。


「緊張しないで、君のことを教えてくれないか?」


「わたしのことですか……?」


「東京に住んでいるとしか知らないからね」


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