誘惑のクラン(血族)
「その先まで……してしまうかもしれない」


「……その先?」


「男女の――」


「い、言わなくてけっこうです! 大丈夫です! 優真さんとなら――」


その先は言えなかった。


唇を優しく重ねられたからだ。


抱き上げられ、ベッドへと連れられていく。


シーツの上に寝かされ、静かに愛しい人の顔が下りてくる。


何度も唇を重ねたあと、首にちりっとした痛みを感じた。


痛みを感じたのはその時だけで、優真さんに血を吸われている間、私は恍惚感に浸っていた。


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