誘惑のクラン(血族)
璃子の視力が日中の太陽に耐えられるようになると、美菜の様子を見に連れて行ってもらった。


ちょうど退院日で、東京から私も会ったことのあるご両親が迎えに来ていた。


遠巻きに駐車場にいる美菜の元気な様子を見て、璃子は心の底から安堵した。


璃子は車が見えなくなるまで、木の陰から見ていた。


その瞳は寂しそうに潤み、今にも大粒の涙が零れ落ちそうだ。


「寂しくなったのかい?」


瞬きで頬に零れ落ちた璃子の涙を優真はそっと拭った。


「うん……」


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