誘惑のクラン(血族)
「あ! すみません! 知らない者を泊めるんですものね。知っておきたいと思うのは当然です」


「いや、君たちを用心して聞いたのではないんだ。碧羽の言うとおり、君は可愛いから知りたいと思ったんだ」


優真の口から、可愛いと言われて璃子の顔が熱くなった。


きっと耳まで真っ赤になっているに違いない。


「一晩中道に迷わないで本当に良かったよ。この辺の夜は気を付けないといけないから」


「気を付けないといけないって……?」


「時々、ヴァンパイアの事件が起こる。まあ、ここでなくても東京でも同じことだが」


優真は紅茶ではなく、茶色の透明な液体のブランデーを飲んでいた。


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