誘惑のクラン(血族)
「最近、夜の外出は怖くて。ヴァンパイアの事件が多いですよね」


昼間は活動をしないヴァンパイアは、夜になると人間を襲う事件がこのところ頻繁に耳にする。


「……この辺で……事件があったんですか?」


「数日前にあったよ。別荘に遊びに来ていた若夫婦が散歩の途中で襲われたらしい」


優真の話に璃子は喉の奥から小さな悲鳴をあげた。


近くにヴァンパイアがいると思うと足が震えてくる。


「そんなにヴァンパイアが怖い?」


「あ、あたりまえですっ! 血を吸うだけじゃなくて残忍に殺すって聞きます」


「……」


「優真さん……?」


璃子は過剰に騒ぎ過ぎてしまったのかとおそるおそる声をかける。


「え? あぁ。家の中には入れないから安心するといい」


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