誘惑のクラン（血族）

部屋に入って備え付けのシャワーを浴び、あとは寝るだけになると先ほどのヴァンパイアの話を思い出して怖くなる。


家には入れないって言ってたよね……。


カーテンの向こうの窓がしっかり施錠されているか知りたいけれど、怖さが先に立って足が動かない。


璃子は薄い布団を頭までかけると、目を閉じた。


＊＊＊＊＊＊


「璃子、璃子　起きて。朝だよ」


美菜に身体を揺すられ、眠い目をこすりながら身体を起こす。


「おはよ、美菜」


「おはよう！いつまで寝てるの？　もう９時だよ」


「えっ！？」


一気に目が覚める。